雑踏

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街路樹の生い茂りそびえる城壁かと思いきや。 きらびやかな街並みは文明社会の成りの果て、ネオンやビルが立ち並び人々はそれぞれに生き急いで足並みを揃える。 車のクラクション人並みの雑踏。 聞こえてくるのは若人の悦ぶ声、同じ若人なれどひたすら疑問を覚える獅子は妖もののけはいないか街の隅を覗いてみたり。 日が登れば人は生きる為の営みをせっせせっせと繰り広げ人々はそれを湯水の如く消費する。 消費して 消費して 消費する。ある喫茶店で若い女達は顔を青や黒の粉で鮮やかに彩りばか笑いする。 このコーヒーまずいやと 世界は同時に回る回る 少女がまずいとほざくコーヒー豆を生きる為稼ぐ為育てる南米の少女は、 ああ喉が乾いたと金がないと 地に這い褐色の水をすする。 褐色の水とコーヒー。 街路樹にビル並木。 燃える木々に崩れさる家屋 獅子は楽しげな表情を浮かべつつも目の前の愉しさの犠牲を思い浮かべるのであった。 あぁ不平等な世界、獅子はそこから逃げ去った。 あまり見たくはない。 楽しさのあまり辛くなるから
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