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溶けてしまえ。
溶けてしまえばいい。
こんな体なんて。
キズだらけになってしまった体、そして、そのキズに残る記憶。
その2つが私を苦しめる。
全て溶けて無くなってしまえ。
太陽が慈悲(じひ)深き心を持っているのであれば、その優しき灼熱(しゃくねつ)の炎で、私の体を溶かし、私を還して(かえして)欲しい。
生命の源である静かな海へと。
私は一人寂しく生きていく運命(さだめ)なのだから。
笑って。
笑ってくれなきゃキスしてあげないんだから。
青い空の下、アナタと二人芝生の上に寝転ぶ。
私はとっても幸せ。
本当に幸せだよ。
『時よトマレ』
私にとっては今がその瞬間。
空の青。
芝生の緑。
風の白。
私はこの3つの色に包まれて、アナタと過ごしている。
今度の誕生日、三色のブーケをプレゼントして欲しいな。
暑いとは無。
溶ける。
それはバターのように。
気持ちまでもが溶ける。
(トロトロー)
美味しく食べてね。
固形じゃなくなってしまったけど。
所詮、私は主役じゃないの。
引き立て役。
美味しく食べてもらえたらそれで本望。
それだけ。
『皮脂(ひし)を使ったバター わたしを食べて』
スーパー、コンビニ等でお買い求めください。
390円也。
流れ星を見た。
僕には半年前から内に秘めた願いがあった。
「父の容態の回復」。
父は末期ガン。
お別れの日は近い。
ずっと願っていることだったのに、肝心な時に願えなかった。
2日前、父は言った。
「ごめんな。」と。
流れ星に願い切れなかった時、その父の言葉が僕の頭の中を支配した。
脳は涙腺(るいせん)に指令を出し、僕の視界を塞いだ。
僕はこの日、「ごめん。」という言葉の重みを初めて知った。
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