2/4
299人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
それは突然のこと。 賑やかな朝の通学路に負けないくらいの叫び声が響く。 「いってぇぇぇ!」 「大丈夫ですか?!兄貴?!」 俺とぶつかった兄貴と呼ばれるがたいの良い男が俺を睨む。 「これは肩の骨が外れちまった…おいテメェ治療費として財布置いてきやがれ!」 肩を押さえながら言うあまりにも古典的なイチャモンに 俺、清水 春樹(シミズ ハルキ)はため息をつき、前にいる一昔前の見た目をした不良二人を見た。 どうやら穏やかには解決しなさそうだ… そんなことを考えていた矢先、 「おい!ビビって黙ってんじゃねぇぞ!」 と自称、肩が外れた兄貴は拳を振り上げる。 ―おいおい、お前肩外れてんじゃねぇのかよ… 俺は心の中で呟き、本日二度目のため息をつくと、こちらに向かって振り下ろされる拳を見据えた。 しょうがないか… 俺は向かってくる拳を見ながら全身に力を込める。 その瞬間、俺の世界に静寂が訪れた。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!