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それは突然のこと。
賑やかな朝の通学路に負けないくらいの叫び声が響く。
「いってぇぇぇ!」
「大丈夫ですか?!兄貴?!」
俺とぶつかった兄貴と呼ばれるがたいの良い男が俺を睨む。
「これは肩の骨が外れちまった…おいテメェ治療費として財布置いてきやがれ!」
肩を押さえながら言うあまりにも古典的なイチャモンに
俺、清水 春樹(シミズ ハルキ)はため息をつき、前にいる一昔前の見た目をした不良二人を見た。
どうやら穏やかには解決しなさそうだ…
そんなことを考えていた矢先、
「おい!ビビって黙ってんじゃねぇぞ!」
と自称、肩が外れた兄貴は拳を振り上げる。
―おいおい、お前肩外れてんじゃねぇのかよ…
俺は心の中で呟き、本日二度目のため息をつくと、こちらに向かって振り下ろされる拳を見据えた。
しょうがないか…
俺は向かってくる拳を見ながら全身に力を込める。
その瞬間、俺の世界に静寂が訪れた。
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