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スローモーション。
そう呼ぶのが相応しいだろう。
俺に向かってくる拳は、それこそナメクジのようにノロノロと進んでゆく。
拳だけじゃない。
周りの野次馬の動きも、風にそよぐ木々の葉も、俺自身の動きすらノロノロと進んでいく。
だが一つだけ違う点としては、この状況で俺だけは全ての事象がゆっくり進んでいることを認識している。
生れつき持ってた力だった。
俺が望むと世界の全てがゆっくりと進む。
だが俺はそんな中でも意識がしっかりしてるので次にどういう動きをすれば良いか、わかった。
とりあえずは、この攻撃をどうにかしないとな。
俺は左手を向かってくる拳の軌道上に持ってくると、集中を解いた。
集中を解くと同時に世界の速度が元に戻る。
一瞬で周りのざわめきが戻ると開いた左手に強い衝撃が走った。
どうやら目論み通り、パンチは俺の手の平に衝突したようだ。
「な…俺の必殺マッハパンチが止められただと…!?」
一方の不良はまさか止められると思わなかったらしく、驚きの余り目をしばたかせていた。
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