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第1話
俺の名前は鳥久シゲオ。
田舎の深夜のコンビニで働く、貧乏学生だ。
名前の由来は、あのミスタージャイアンツで現・終身名誉監督様の名前にあやかって、父親が名付けたそうだ。
きっとプロ野球選手にしたかったに違いなかったが、当の俺は小学三年で少年野球に入団したものの一カ月足らずで辞めてしまった。とにかくボール拾いが退屈だったからだ。
俺は見事に親の期待を裏切り、今は三流大学の貧乏学生をやっているわけだ。
なぜ、田舎の深夜のコンビニで冴えない店員をやっているかと言えば、楽な上にタダ飯にありつけて“まあ妥当だろ”という程度の時給を貰えるからに他ならない。
今日も相変わらず人影がない。
果たしてこの店の近辺にどれだけの人間が生息しているのだろうか‥‥。
この時間に店を開けている意味はあるのだろうか‥‥。
暇であれば、それに越した事は無いのだが、そうなると今日もまた“あの人”の話を聞かなければいけなくなってしまう。
“あの人”がいつもの寝呆け顔でバックヤードからフラフラとやって来た‥‥。
「あぁー、客がいなくなっちゃったねぇ」
「そっすね」
来た‥‥‥今日は何の話だ?
「こんなんで俺らいる意味あんのかな?」
同じ事考えちゃってるし‥‥。
「ですよねぇー」
江野本先輩の話は、
何時もいつも、べらぼうにつまらない。
🏪自虐的に。
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