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第3話
静かに寝息を発ててる、先輩‥。
せん‥ぱい‥‥。
ねて‥る‥‥‥よね‥?
「ん‥んー‥‥」
はっ!?
やっべーっ!!
いかんいかんいかんいかんてー!!
何を考えてんだ、俺はー!!
こいつはヒゲ面でメガネのおっさんだぞ? おまけにどんな面白ネタでもつまらない話へと翻訳してしまうどーしようもねぇおっさんだぞ? いかんて。俺いかんて。関西弁出ちまうなんて、よっぽどあか‥‥いけてないって。発作が出ちまったよ、こんなおっさんにキス魔の片鱗見せてどーすんだ、俺!俺!しっかりせい俺!俺は男、オトコ、男の子、男の人、生粋の男、関西人、の男、オトコ。
俺は女が好き、好き、だーいすき、無類の女好き、あからさまに好き、女に目が無い、女好きの甲斐性なし、いやチガウ、でも当たってるけど、俺は女がすきスキすき好きすき‥スキったら好きったらスキ‥‥‥‥。
「ふわぁぁぁ」
「す‥‥き‥」
「なーに、ブツブツ呪文唱えてんだ、おまえ」
あ‥‥起きちゃった。
「雑誌来てんぞ?」
「あ‥ホントだ‥‥‥」
気付かぬ間に雑誌が来ていた。
「サボってねーで、仕事しろっつの」
今寝てたのどいつだ!?
「先輩、今寝てたじゃないスか」
「寝てる様に見えたのか? だが俺は寝ていない。この店の今後について深く思案を巡らせていたのだ」
「なんスか、それ」
先輩はこの店のオーナー店長の息子だ。
「いいから、仕事せい」
そして俺は、キス魔だった。
🏪ちゅうはねぇだろ、ちゅうは。
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