135人が本棚に入れています
本棚に追加
第5話
俺は中学卒業後、父親の仕事の都合でこの街にやってきた。友達が一人もいないままに入学した高校で、同じクラスで一つ後ろの席に座っていたのが、リオだった。
「久しぶりだなぁリオー、高校卒業した以来かな?」
「そー‥かな? ここでバイトしてるって聞いたから‥‥」
リオは、茉莉夫という名前から、『マリオ』と呼ばれていた。しかし本人はその名前が気に入っていなかったらしく、友達から『マリオ』と呼ばれる度に、怪訝そうな顔をしていた。
そんな様子を見兼ねたまるっきりよそ者の俺は、茉莉夫の後ろ二文字を取って『リオ』と呼んでいいか? と提案した。すると彼女いや彼の顔は途端に華やぎ、
「外国人みたい。女の子みたい」と心底喜んで笑った。それがキッカケで俺たちは仲良くなった。
後々、聞いた話だが『マリオ』と呼ばれると、どうしてもあの赤い帽子を被った口ヒゲのオジサンのキャラクターを連想してしまうから嫌なのだ。と言うことだった。
「あれー大学は?」
「夏休み入って、すぐ帰ってきちゃった」
高校卒業後、リオは東京の大学へ行き、俺は地元の大学へ進んだ。会うのは2年半ぶりくらいだ。
それにしても綺麗になったもんだなぁ‥‥。
俺は一度、リオに告白された事がある。
高校3年の夏だった。
いやぁー惜しいことしたなぁ‥。
いや!! 俺は女が好きだ!!
女が好きったら好きだ!!
まぁね‥‥。
でも固定観念って、つまんないんだよ、うん、そう、ホント。
「あーれ?」
いないや‥‥。
「どうしたの? 鳥久くん?」
「いや‥‥何でも」
先輩が消えた‥‥。
🏪また出たっ!?
最初のコメントを投稿しよう!