第一話

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そんな男子生徒が視界に入った教員は、苛立ちの色を含んだ声で言葉を発した。 「授業も聞かずにどこを見てるんだ?オウカ=ディレクト」 その男性教員の声に反応し、窓の外に向けられていた視線はゆっくりと教員のもとに向けられる。 その動作にどこか苛立ちを感じたのかは分からないが、教員は先程よりも苛立ちの募った声で言葉を発した。 「聞いてるのか?クズはクズなりに勉強しろと言ってるのだぞ?」 その言葉にオウカは表情を変えずに淡々と非礼の言葉を述べる。 それに満足したのか教員はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて授業に戻った。 この世界で子供に人権などない。 国が決めた事をやらされ、無理やり力をつけさせられるだけだ。 故に子供達は全員、学園に入学する12歳から親に1年に1度しか会えなくなる。 そして与えられて学生寮で憂いに沈むだけだ。
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