第一話

4/28
前へ
/468ページ
次へ
子供達の心は泣いていた……… 自由を与えられない環境に順応できず、そのまま精神に異常をきたした子供も少なくはない。 自殺をしてしまう子供もいる程だ。 この国は完全に腐っていた。 本日最後の授業が終わり、オウカは黙々と荷物をまとめて寮への帰路につく。 ………もちろん一緒に帰る友達などいない。 彼の他をよせつけない態度、は結束力の強いこの国の子供達にでさえ不快感を与えていた。 しかし、オウカはそんな事気にしない。8歳からずっと、12年間も彼は一人なのだから……… 御歳20になる彼らはセントラル学園の最上級生、そろそろ軍への入隊への準備が進められていた。 彼らは軍への入隊を強制されている。 だが、彼らは軍へ入りたがっていた。 ――束縛された生活は終わりだ、自由になれる―― みんながみんなそう思っている。それが本当かどうかさえ分からないというのに………
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3533人が本棚に入れています
本棚に追加