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降りたつ女性の後ろ姿を眺めながら なんだったのだろうと首を傾げる。 一つため息をつくと気を取り直して再び本を読もうと 視線を落とした。すると、視界に長方形の塊が入り込んできたのだ。 それは 携帯電話だった。 さっきの女性の忘れ物だろうか…。どうしよう…。 電車は走りだしてしまっている。 次の駅で降りて 女性に返してあげるべきだろうか。いまさら戻ったとしても 間に合わないのは 目に見えていた。 あと二駅で私の目的地だ。とりあえず 駅員に届けるのが妥当だろう。 一人 納得すると私は忘れ物の携帯電話を鞄にしまった。
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