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多少面倒ではあったが 時間はたっぷりある。 読書を中断され 続きを読む気分は阻害されてしまった。私は本をしまうとドアの近くへと移動した。 一人きりで電車に揺られながら ぼんやり窓の外を眺める。 流れていく景色の中に、ふと仲良く並ぶ自転車通学の学生を見つけて 思わず目を逸らした。 羨ましくなんかない。私は一人でいたいから一人でいるのだ。 みんなといる間は、とりあえず笑って とりあえずその場を乗り切れば あとは静かに自分の時間を楽しみたい。目立たず静かに学生生活を送ることが私の目標。 私は寂しくなんかない。 以前 親友だと思っていた友達から裏切られた。捨てられたという方が正しいかもしれない。いや、親友と思っていたのは私だけだったのかもしれない。 全ては私が今通っている進学校に受かってしまった事からだった…。人の先に立てば標的にされる。 それを私は 身に染みて知っていた。
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