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だから 入学して以来、私は目立たず静か平穏無事に毎日を送っているのだ。
特に親しい友達をつくる事もなく…。
ぼんやりしているうちに電車は目的の駅に到着していた。
私は慌て飛び降りる。すると突然 鞄の中で携帯が鳴り出した。
鞄から携帯電話を取り出すと 急いで電話に出る。
「あのっ…もしもし…」
『近すぎじゃ』
「へ?」
意味のわからない言葉に私は間の抜けた声で返答する。
『近すぎじゃと言っておるのが わからんかのっ』
耳元で甲高い声が響き 私は思わず携帯電話から顔を離した。
『よし。では 名を言うてみよ』
開いたままの携帯電話から声がする。
ハンズフリーにしたっけ…。
私は確認しようと携帯電話の液晶画面を見つめた。
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