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「…えーと…なんなんだろ…。おかしいな」 私は携帯電話をひっくり返したり 逆さまにしてみる。他人様の携帯電話を壊してしまったのかもしれない。 液晶画面には不思議な生き物がフワリフワリとゆらいでいる。着信画面でもなさそうだし ハンズフリーにもなっていない。 「どうしよ…。壊した?」 呟きながら いろんなボタンを押してみる。 『やめいっ。くすぐったいではないかっ』 また 携帯電話から甲高い声が響く。周囲の人が訝しげに私を見ている。 私は慌てて改札を抜けると 駅近くの公園まで走った。 私の頭は 他人の携帯電話を壊してしまった事への罪悪感とどう謝罪するかでいっぱいだった。 『そちは 名を何と申す』 携帯電話は まだ甲高い声を響かせている。 「捨てるか…」 携帯電話を握りしめ投げようとしてみたものの 罪悪感に負けて思い留まる。 『壊れてなんぞおらん。よう見てたもれ』 再び携帯電話が甲高い声を響かせた所で 私は奇妙な事に気がついた。
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