吸 血 鬼

39/47
前へ
/626ページ
次へ
「ゴメン、待たせて…」 三島が高橋に魅入っていると、有紀が靄から姿を現した。 「有紀ちゃん…可愛い……」 「確かに……」 2人は有紀の姿に釘付けになってしまった。なぜなら、飯島愛子に切られてしまった無造作な髪は、綺麗にまとめられ、サイドに粗めの編み込みが施されて、彼女の清潔さを、さらに引き立てていた。 修也に付けられた傷やキスマークはどこにも無く、黒く透けている洋服を着ていた。その下にはちゃんと黒いキャミソールを着ていたが。 下はアイボリーなゆとりのあるズボンで、ちょうど腹の部分に、リボンでウェストを縛る仕組みになっている。 本当に細い子だ。足はゆとりのあるズボンでも、風が当たれば彼女の足を浮き彫りにし、細さを強調するだろう。 靴は赤いピンヒールを履いていた。そのお陰で身長がだいぶ高く見えるが、高橋や三島には、まだ少し小さく感じる程度だった。 「髪を切るのに時間かかっちゃって」 有紀は真っ赤な薄い唇を動かしながら2人に言った。 有紀が動く度、彼女の耳に付いている、ひし形の大きなピアスが揺れる。
/626ページ

最初のコメントを投稿しよう!

389人が本棚に入れています
本棚に追加