吸 血 鬼

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「いこっか、そんなに見ないでよ二人とも…」 有紀は顔を隠しながら2人の側に向かう。有紀と高橋が並ぶと、まさに美男美女カップルだ。 「いいなぁ……俺も吸血鬼になりてぇ!」 「馬鹿か」 羨む三島に、高橋が呆れたように言った。少しムッとしたが、有紀が話しかけてきたので三島は堪えた。 「三島、吸血鬼になりないなんて願っちゃダメ。付け込まれるよ」 「誰に………?」 三島は少し緊張しながら聞いた。 「烏よ」 「カラス?」 意外な答えに拍子抜けするが、有紀は真剣だった。 「烏には本当に気をつけて。悪魔の手先よ。悪魔を呼び寄せ、人間と契約させてしまうわ。悪魔は私たちとは仲間に当たるけど、人間の貴方は標的になるわ!だから禁忌な願い事はしちゃダメ!分かった?」 「分かった…」 三島は有紀の迫力に押され、たじろぎながら了解した。 「これを肌身離さず持って行って」 「ナニコレ?」 有紀に渡された物を見ると、それは三角錐の形をしていて、小さいのに少し重かった。 「純銀よ。これで貴方がどこに居るか直ぐに分かるから、絶対に離さないで持っていてね。それを目印に迎えに行くわ」 「ありがとな!どこに入れとこーかな…」 三島は片手でポケットを触ったりしながら、安全な場所を探した。有紀はそれを見て、何もない所からネックレスを取り出した。
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