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「あー、よォやく静かに過ごせるな」
伸びをしてから首の骨を鳴らし、恭也が目をこする。
「ほんっと、色々あったけど一日中ダラダラできんのはいーもんだな。快適快適」
天井を見上げたまま半眼を開き、朔夜も同意してうんうんと頷いた。
「血行も良くなってきたし僕の体も万全に近いな。たまには病院もいいものだ」
自分の手の色を凝視してから、夕は心底嬉しそうに万歳した。
三人が三人ともいい旅夢気分。
各々が嬉しそうに感想を述べてから、向かい合って同時に口を開く。
「「「なんでまた一緒の部屋なんだよ」」」
ここまでデジャヴ。
心底不快な表情で憎たらしい悪態を吐く三人は、外から見れば仲良し三人組(笑)に違いない。
しかし、三神は知っている。この三人が固い絆で結ばれていることを。
だから彼は、三人から離れた部屋の隅で彼らの様子を見ながら微笑むのだった。
Fin
「Fin、であってたまるわけないでしょうが!」
例によって例のごとくけたたましく罵りあう三人に対してたまったストレスは半端じゃない。
三神はこの一週間で減った体重よりもずっと神経をすり減らしてきた。
戦士としての矜恃を取り戻した今、いつまでも平和主義者でいられるほど温厚ではない。
「旦那らいいかげ「「「部外者は黙ってろ!」」」
「はい、黙ります」
この一週間で三神が得たこと。
戦士としての矜恃←おまけ
自分の立ち位置←最重要
とにもかくにも、あれだけの大事件がありながら彼らに変化はなかった。
これからも、変わる日々を彼らは変わらずに過ごす。
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