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精密検査を受け、お前らよくそんな体で騒げるな、と飽きられながら三人は提供されたベッドで深い眠りについた。
目には目を、能力者には能力者をというなんかまぁ、切り傷とかの治療めんどくね?という酒巻先生(じじい)の方針のもと、治癒系統の能力者によって目立つ外傷は概ね治癒した。
一番激しく戦闘をした柴恭也はほとんど問題なかったが、新しく開発した能力による細胞の再生ということで様子見の意味をこめて入院。
神崎朔夜は超上咲学園の保健医酒巻鈴葉の能力によりひびの入ったあばら骨はほぼ完治。
折れた左手も破れた毛細血管も同様だ。
どんな治療を受けたのかと訊かれた時はこの少年にしては珍しくも激しく動揺してまともに返事ができなかった。
ただ、うわごとのように「俺は無機物。俺は無機物。だから痛みは感じない」と言い出した時にはもう駄目だと思ったらしい。
夕闇夕に至ってはもうただの馬鹿だった。
レインコートとの激戦で「何でこんなになるまで気付けなかったんだよ」とか喚いていたが、主治医からしてみれば「何でこんなになるまで体を駆使できたんだよ」と言ったところだ。
とにかく絶対安静。
最高の治療をしても全治二週間。つーか二週間で治すほうがすごい。
外れた肩はクセになるだろうし、何回も頭を強く打ちすぎたせいでますます馬鹿になっている。
むしろ一周して天才になったんじゃね?あ、やっぱり馬鹿だな。丸一周してんだから、と朔夜に言われた意味をよく理解しきれなかったようなのでやっぱり馬鹿だ。
別に入院しなくてもいいんじゃないかと思われる奴もいるが、学園側の状況整理がつくまで一週間はそいつらを軟禁して欲しいと校長からの切実な願いに応えた結果だった。
そんなわけで、午前中いっぱい惰眠を貪り体力を幾分か取り戻した午後六時に、三人は目を覚ました。
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