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さすがの朔夜も高速で顔が引きつっていった。
(聞き覚え……激しくあるんですけど)
必死でその可能性を否定しようと判断材料を探しに頭を回すその歯車を絶叫が止めにかかる。
『僕が新リーダーの夕闇夕だぁぁぁ!!』
「「なーにやってんだあいつはあああぁぁぁぁぁ!!!?」」
予想外だったのは杉原も同様らしい。
頭脳派の二人にしては珍しくシンクロして叫び倒した。
しかしその意味は全く別のもの。
「なんで敵側について尚且つリーダーになってんのあの駄眼鏡!?いつもいつも予想の斜め上を一直線に突っ走りやがって、魔界とか世界じゃなく宇宙のために滅びろよあんた!」
「なんで敵側について俺より先に戦車乗って尚且つ指揮官なんておいしーポジションについてんだあの後輩!?男の子のロマンに先輩を差し置いて一番乗りなんてしてんじゃねーよ!おい、末次行くぞ!あの馬鹿にお説教だ」
「行かねーよ。お前が一番馬鹿だから!お前が一番説教を享受しろ!」
思い思いに騒ぐ三人とは対極的に、外の雰囲気は張り詰めていた。
対峙している以上そうなるのは当然のことだが、今回の場合は特に恭也が凄まじかった。
額に浮かび上がった血管が二枚目の顔を恐ろしい犯罪者のそれへと変える。
身命そのものから吹き出すどす黒い凶器じみた狂気にのテロリスト達が分厚い鋼の装甲内部にも関わらず息を呑んだ。
が、馬鹿には通じない。
『繰り返す!どけ恭也!僕らはこんなところで捕まるわけにはいかないんだ』
普段と変わらない悪友の呼び掛けは恭也の逆鱗を撫で回すには充分の効果があった。
「ハッ、笑えねぇ。つまりこォいうことだな?クソ眼鏡、テメェは再び俺様の敵になるわけだ?」
『違う!が、邪魔をするなら僕はお前を倒さないといけないな』
「違わねぇよ。理由なんざ知るか七面倒くせぇ。血祭りにあげてやる……!!」
『恭也。僕が同じ相手に二回も負けると思うなよ?』
「そのまま返すぜ。テメェとはいずれ決着をつけるつもりだったしなァ!」
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