虚無

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―ガチャ 「ただいま…」 小声でぼくは言った よく見たら 出かけるときにはあった 大きな靴が無くなっている。 あの男の人は帰ったみたいだ 今お母さんは一人…? ギィィイ…… 「ただいま…」 静かに扉を開けて お母さんにそう言った 「なんだ… 帰ってきたんだ」 ズキンッ また痛い… 血なんか出ないけど 一番辛い言葉… ぼくの存在を丸っきり 否定されてるこの言葉… まだ叩かれたり 蹴られたりしてる方がマシ ぼくに、ぼくの存在に 触れているから… この時だけは ぼくを見てくれるから…
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