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「あの、複製魔術陣を使うのは……」
「許可しない。手書きの練習をしないから破滅的な不器用さが、いつまで経っても改善されないんだぞ、エリー」
ううっ、と恨みがましい目で睨まれても意見を変えるつもりは全くないらしいリルア。泣く泣くエリーは黄ばんだ紙に特殊なインクで円を描き始める。
これは事前に魔紙という一定時間魔力を定着させておく特殊な羊皮紙で、そこにあらかじめ属性魔力を込めたインクで魔術陣を描いておくことで、戦闘中に魔力を流すだけで魔術を即発動させられる魔道具。
しかし、それは魔工品により得られる恩恵と変わりない。その為、好んで利用する魔術師は極めて少なく、学園意外では使われない技法である。
エリーは魔紙に魔術陣を描いてゆくのだが、何とも前衛的で芸術的な、おそらく評価されるのは数世紀も未来になるであろう作品が描かれてゆく。
「なあ。何でそんな波打つ直線が描けるんだ? いや、まあ、ある意味で才能に溢れてると思うぜ、俺は」
「う、うっさい!!」
顔を赤くして怒鳴るエリーだが、これはさすがにアレである。フェロンもフォローの言葉が思い浮かばず苦笑するしかない。
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