『白光の魔女の弟子として』

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   ◆ ◆ ◆  それから暫く魔術についての復習が続き、昼食を挟んでの午後の部。  今度はエトが待ちに待った実戦稽古。そして、それはフェロンにしても同じ。いや、エト以上だろう。魔術が使えない分、特にその思い入れは大きい。  そうして三人は、それぞれの使う武器に似せて造った刃のない模造武器を片手に、ギルドの裏庭に集合する。  エトはニメートル近い長さの大剣。重量にものをいわせた一撃必殺が信条だと言い張る、速度を重視したフェロンとは正反対の戦闘スタイル。  エリーは弓。後方からの攻撃と魔術との統合性を考慮しての選択。そもそも接近戦闘が苦手な彼女なりの戦闘スタイル。  フェロンは三日月の装飾剣に長さだけ似せた模造武器。月光の剣は魔武器なので模造武器と全く同じではないが、それでも間合いを測る練習にはなる。 「エト。いつもながら、こういう時だけは早いな」 「へへっ、当たり前だろ!」  やれやれ、と声に出して現れたリルアの手にある模造武器は、彼女の魔武器と同じ刀身の反った刀。人斬りを突き詰め、人を殺す効率を極めた武器である。  武器を手にしたリルアの存在感は、それが模造武器だと頭で理解していても威圧される。
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