『白光の魔女の弟子として』

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  「では始めよう」  ドクン、と心臓が高鳴る。  緊張と興奮の一瞬。怖いのに楽しみな一戦。自分がどれだけ成長できたのか、それを識ることができる戦い。 「今日こそ積年の恨みを晴らせと神が俺に与えたもうた千載一遇のチャーンスッ! ここで殺らずして男と言えようか!? いいや、言えぬわっ! 今まで額を白く染められること五七回分の借り、ここで利子までまとめて返してクキュルプッ!!」  もう少しだけ待ってくれていれば死亡フラグに繋がる高笑いが聞けたのだが、その前に瞬間移動したかのような速度でエトの眼前に現れたリルアの、模造武器すら使用しない万物共通の『頭突き』でぶっ飛ばされる。  ごろんごろんと地面を転がってゆくエトだったが、運がいいのか悪いのか、その勢いは水色チェック柄の丈の短いプリーツ姿のエリー下で止まる。  暫しのフリーズ。そして、 「ナ、ナイスもろパン」 「死ね!!」  立てた親指だけは、顔面を全力で踏み潰されても決して下ろさなかった。
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