『白光の魔女の弟子として』

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  「なかなか強くなったな。肉体強化なしでここまで動けるとは思っていなかった。いや、本当に想像以上だ」  リルアが窪んだ石畳から、そっと足を抜いた。信じられないことにサンダルに近い履き物。石を踏み潰したサンダルに傷の一つも見当たらないのは、それ自体が一つの魔術のようである。 「リルアさん! 何度も言ってるけど肉体強化してる状態でも優に殺せる攻撃を、肉体強化する暇も与えずに仕掛けないで! マジで怖いからさ!!」 「恐怖が判るというのはいいことだぞ。うん、とてもいいことだ」  うんうん、と腕を組んで頷いていたリルアを警戒していた次の瞬間、  強烈すぎる彼女の覇気に押され、防衛本能が自然と肉体強化の指輪に魔力を流し込み、それを実行。たちまち知覚や感覚が加速した。  にもかかわらず、フェロンは一瞬、彼女を見失う。 「――え?」  死角からの初撃。的確に膝を破壊しにきた、鋼鉄をも二つに引き裂きかねないほどに磨きぬかれた足刀を避けられたのは、ほとんど偶然。  しかし同時に、かわされた蹴り脚で一歩を稼いだリルアの掌底が、吸い込まれるようにフェロンの腹部に触れる。
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