『白光の魔女の弟子として』

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   それから少し考え、 「ふむ、それなら気遣いは無用だ。肉体強化に回す魔力を増やせ。そうすれば、まだ十分動けるだろ」 「まだ、やらせる気なんだね……」  断っても無駄だと解ってしまうフェロンは覚悟を決め、言われた通り肉体強化を可能とする魔工品の指輪の上限まで魔力を込める。  その直後。ふっ、と霞むようにリルアが動く。  限界まで肉体強化をして初めて二者の速度が釣り合い、常人の目には映りもしない早業の応酬が、魔力の衝突が光の波紋を生み、裏庭に麗美な光景を出現させる。  しかし、 (くそっ! リルアさんにとって、このレベルはまだ『遊び』なんだ……)  フェロンが気付き、内心で歯噛みすると同時に、リルアの笑みが深くなる。  速い動きには見えなかった。むしろ、それまでの動きと比べて遅かったほどだ。  なのに、気付いた時には重心を崩され、背中から石畳に叩きつけられ、同時にゼロ距離から通打を打ち込まれる。  ぐしゃっ、とイヤな音を立てて背中の石畳が『潰れた』音がした。自分の内臓と共に。 「……何故、打ってこなかった? 間合いも隙も十分にあっただろう?」  無表情のまま、フェロンを組み伏せた状態でリルアは訊ねる。
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