『白光の魔女の弟子として』

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   張り詰めていた緊張の糸を緩めるのと同時に、ドッと押し寄せるダメージに打ちのめされながらも、フェロンは何とか上体を起こし口元の血を手で拭う。  立ち上がる気力も湧いてこないまま、ぼんやりしている隣にリルアが腰を下ろす。  見れば汗ひとつ掻いていないどころか、その着衣に乱れすらない。今着替えたばかりと言われても信じられる。 「ふう……。やっぱり勝てなかった」 「ん? やっぱり、ということは私に負けても悔しくないという意味か?」 「んなわけないでしょ。悔しいに決まってる。負けていいつもりで戦ってないよ、いつも」  ただ純粋な人間スペックのリルアを相手に、こちらは今現在の限界まで性能を引き出して挑んで尚、彼女にまだ余力があることに気付いた時の苛立ちが蘇り、無意識に拳を握る。 「それなら何故、先の手合わせで勝てるチャンスを見送ったんだ?」  その指摘は本当だった。  偶然、にしては大きすぎる隙だったことを考えると、リルアにより故意に作られた隙だろうが確かに一度、攻撃を誘うかのような致命的すぎる隙が作られた。
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