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それから始まる圧巻の、飲めや歌えや踊れやのパーティ状態。フェロンが今日まで経験してきたパーティとは正反対。
豪快で騒がしい。しかし、それ故に楽しいパーティ。
様々な人に豪快に絡まれ、それに少しばかり戸惑いながら過ごしていると、二階に続く階段から顔を覗かせたリルアが手招きをしていた。
フェロンは肩を組んでくる男の丸太のような豪腕を解き、テーブルにコップを置いて階段を駆け上がる。
「どうだ、楽しんでるか?」
「……はい。こんなに楽しいパーティは初めてです」
きっと嘘だとリルアには気付かれているだろう。
その証拠に彼女の端正な容姿が悲痛に歪み、それは自分の愚かしい発言を呪うような顔をしていた。
「そう、か。だがパーティに戻る前に私と一緒に来てくれないか? マスターに会い、明日からの生活について話しておきたいんだ」
そう言うリルアに連れられ、フェロンたちは二階突き当たりにある部屋の前で止まり、そのドアをノックする。
中から「入りなさい」という年老いた男の声が聞こえ、それを確認してからリルアはドアを開ける。
フェロンは、まだ見ぬマスターという人物を勝手に想像しては身体を震わせ、そこに恐怖心を育んでゆく。
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