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乱雑に積み上げられた本の山に埋もれるように置かれる、使い古された机と椅子。そこに頭は干上がっているのに顎髭だけはフサッフサの老人がいる。
外見だけで判断するのはかなり難しいが、少なくとも七〇代のような印象を強く受ける。
「いらっしゃい、君がフェロンくんだね」
優しい笑顔の老人に見合った柔らかな口調に、フェロンは慌てて答えようとして、しかし焦りすぎからか、言葉を忘れて首肯するだけに終わってしまう。
「はっはっはっ! 落ち着け落ち着け。ほら、ゆっくり深呼吸してごらん」
すーはー、と素直に数回繰り返して――効果があったのかは定かでないが――少しだけ落ち着いた気がした。
「では改めて。ワシはカーネリアのマスターをしとるカイウス・シルライド・ゼ・ラグジェスだ。ようこそ、フェロンくん」
首から上は老人のそれなのに、しかし首から下は老人とは思えぬほどガッチリした体格をしている。
そのせいでフェロンの緊張が三割増なのだが、カイウスも同席しているリルアも全く気にした様子はない。
「あ、あの! き、今日からお世話になります!!」
言葉と共に頭を思いきり下げて、そこで不意に首を傾げる。
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