『カーネリア』

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  「どーするつもりだ、おじいちゃん」 「そうだな……。やはり、まずはダジャレあたりから教えるべきだとワシは思う」 「そんな話を誰がしている?」  結局、夫婦ではなく祖父と孫の関係だ、ということを信じさせるのに短くない無駄な時間を消費し、そうして漸く話は本題を迎える。 「さて、この認めたくはないが私の血縁者のせいで本題から逸れていたが、ここのルールから教えよう。働かざる者に食わせる飯はない、だ。だからフェロンにも働いてもらう。もちろん、最初からギルドに登録して仕事に出すようなことはしない」  それじゃ何の仕事をすればいいんだろ、とフェロンは首を傾げる。その思考を読み取ったのか、それについてリルアは説明を続ける。 「基本的には教養と戦闘訓練、酒場で料理を運んだりと、まあカテリナの手伝いだな。私が許可を出すまではギルドの依頼は請けさせない」 「でもボクは魔術が……」 「だからこそだ。フェロンがギルドの仕事に出たくないと言うなら他の仕事を斡旋しよう。だが、少しでも強くなりたいと願うのならば――」  リルアは腰に下げた剣をフェロンの眼前に突き出す。刀身の反り返った薄い刃の剣。東洋の『刀』という武器。しかも、これは月光の剣と同じ魔武器。 「――この私が鍛えてやる。魔武器だけでAランクの魔物と一人で対等以上に戦える魔剣士にな」
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