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ぬおっ? と怪訝な表情を腕の中にいるフェロンに向けて、そして神妙な顔で机の上の魔術書を腕で床に落としてスペースを確保する。
「ここに寝かせろ。すまないが、キミたちは外で待っていなさい。すぐに終わるからな」
半ば追い出されるようにして、エトとエリーは廊下へやられる。
熱い日射しで汗が流れるが、それだけが理由ではないような気がして、ふたりは自然と互いの手を取り合い、再びドアが開くのを待つ。
そして、ふたりを追い出した後のマスターの部屋で、荒い呼吸のフェロンの手を心配そうに握る孫の姿を見て、カイウスは柔らかに微笑む。
「リルアもそういう顔をするようになったか。いいことだ」
はっはっはっ、と脳天気に笑うカイウスをキツく睨んで、すぐにリルアは視線をフェロンに戻す。
「早くフェロンを助けてくれ……。私では、どうしたらいいのか判らないんだ」
「どうもせんでいい。そうやって手を握っていてやれ。これの治療法は痛みの抗体が作られるまで耐えて待つことだ。それ以外にできる処置はない」
「そんな……っ、どういうことだっ!!」
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