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言葉遣いも荒く振り返るリルアの顔を直視して、今度は本当に驚いた。少しばかり、時間を忘れてしまったかのように固まるほど。
初めて見る、成長したリルアの泣き顔。
「あの人と、エミリアさんと約束したんだ。私が守ると……、あの人の代わりに私が!! そう、誓ったんだ」
エミリアとリルアは手紙のやり取りだけとはいえ、三年の付き合いがあり、その人となりを手紙の内容から理解しているつもりだ。
自分の子供を預けて大丈夫なのか、と知る為のものだったと判った今、彼女自身の本心も強く手紙に反映されていたと確信している。
それだけではない。三ヶ月の共同生活の中で、リルアはフェロンを可愛いと思うようになっていた。
「フェロンのこの症状は遅かれ早かれ『必ず』発症していたものだ」
「必ず? おじ……マスターはフェロンの症状の原因が何故なのか解っているのか?」
「フェロンは昔に悪魔の祝福を受け、その魔人を重傷を負わせるも取り逃がしている。間違いないな?」
「…………ああ」
苦い気持ちがせり上がる。
今さらになって何度も何度も、悪夢に魘されるほど後悔している過去の罪。
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