『カーネリア』

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   あの時のリルアはヴァレンス家がどうなろうと知ったことではなかった。だからこそ、取り逃がす可能性が高いことを理解しながらも、アグフォートにトドメを譲ったのだ。  ギルド立ち上げの後押しを得るのに有利な材料になるだろう、と。 「深手を負った魔人は自分で創った空間で傷を癒やす。そうしなければヤツらは自己再生限界を超えた傷を治せないからな。これは、その魔人が傷を癒し、活動を再開した証だ」 「ッ――!? ……そうか。これは自己利益に走った私に下された罰か」 「あまり自分を責めるな、リルア。誰だって人である限り過ちを犯す。後は、それを放置するか改善しようとするかだ」  それでも、やはり自分を許すことができないのだろう。ぶちっ、とリルアは唇を噛み切る。  あの時、確実に自分で魔人にトドメを刺しておけば、こうしてここでフェロンが苦しむことはなかっただろう。  それを考えると、過去の自分を八つ裂きにしても殺し足りないと思ってしまう。 「フェロンの痛みは、どれくらいで鎮まる?」 「……祝福した魔人とフェロンの実力差にもよるが、その話を聞いた限りでは二時間程度で意識を取り戻すだろう」
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