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その言葉通り、二時間ほどしてフェロンは目を覚ました。
先程まで死ぬのではないかと思えるほど苦しんでいたのが嘘のように、すっかり元気になってリルアとカイウスに挟まれて部屋から出てきたフェロンは、その瞬間にエトとエリーのタックルで廊下に押し倒された。
心配かけたことを強かに打ちつけた後頭部を撫でつつ謝罪し、それから一階の酒場に移動する。
カテリナに渡されたジュースを飲みながら、心配してくれたカーネリアの面々にお礼を言って回っていると、そこに一人の男がドアを壊す勢いで飛び込んできた。
草色の鞄を肩から斜めかけにした、よれよれシャツの男。
バーカウンター内からカテリナが「注文は?」と銜えタバコのまま訊ねると、
「あ、いえ! まだ他も回らないといけないんで! これ、号外です!!」
じゃ!! と男は一枚の大きな見開きの紙を手近なテーブルに叩きつけるようにして置き、そのまま颯爽と飛び出してゆく。
「ん~、なになに? あ~、これか……」
紫煙を吐き出しつつ、その記事に興味があるのかないのか判りづらい反応を漏らすカテリナ。
それから、普段は新聞など全く読まない肉体派の男たちはテーブルに、女たちはカテリナのいるバーカウンターに集る。
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