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フェロンたちとしても大いに興味があるのだが、いかんせん実力主義であるカーネリアの面々(大人気ないだけだが)の中に飛び込む勇気は、まだない。
そうして騒ぎが収まるのを暫く待ち、それぞれの持ち場(テーブル)に戻り作業(飲酒)を再開するのを見て、子供たちが駆け出す。
しかし、号外の広げられたテーブルに近付こうとするフェロンの手を、リルアが掴んで止める。
「どうしたの?」
「あ、いや……動揺するなよ?」
フェロンは首を傾げる。
まだリルアも号外に目を通していないはずなのに、それでも彼女は読む前から内容を知っているような口ぶり。
それを不思議に思いつつ、フェロンは早く知りたい一心で「うん」と気軽に頷き、もうエトとエリーしか読んでいない号外のあるテーブルに飛びつく。
大きく書かれた見出しを読んで、リルアの言葉の意味を理解した。
『ヴァレンス家の神童、死去!!』
一〇歳の誕生日を迎えたばかりで連れ去られ、その後の懸命な捜索も虚しく、犯人からの要求もないまま惨殺された長男の遺体がヴァレンス家に送られてきた。
葬儀は来週に行われるが、そのあまりに無惨な惨殺痕により当主が最期の顔見せを拒否。顔を出さず花を贈り、火葬される。
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