『白光の魔女の弟子として』

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  「詳しく言えば魔力の変換が楽になるだけではない。触媒や複雑な魔術陣を用意する手間が省ける。  その技術を利用した魔力を流すだけで特定の魔術を発動させる『専用の魔工品』もある。肉体強化や転移、亜空間の指輪がそれに該当する。それでも、やはり基本は魔力変換の自動化だな」  そう締めくくられるリルアの言葉に、エトは机の下で親指を立ててフェロンに見せる。感謝の意である。 「今度はフェロンの用意したカンペなしで答えられるようにしておけよ、エト」  バレた!? と驚愕で固まるが、前に立つリルア側からサムズアップが丸見えである。  あはは、と苦笑するフェロンと、はあ、とため息を吐くエリー。  リルアは相変わらず仲のよい三人の姿に笑みを浮かべ、それから中身の入っていない器を用意する。 「この器を奇麗な水で満たせ」  初歩の初歩。基礎中の基礎。  陶器の水盤に水属性に変換した魔力を流し、その魔力で魔術陣を描き、イメージ通りに水を具象化できれば成功である。  この難易度は一〇歳児並み。魔術に関する勉強を始めたばかりの子供にでも行使可能な魔術だ。  水属性の先天性がない人にでも、この程度の魔術は誰にでも行使できる。  そう、悪魔の祝福を受けたフェロンのような者でなければ。
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