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いつの時代もどんな場所にも等しく訪れ、世界を闇に包む――――夜。
しかし、今夜この場所においては、いろ鮮やかな光が歓喜の快い音を伴い、街を照らしていた。
景気良く上がる花火の音と、王宮軍楽隊の奏でる調べが、人々の心を弾ませている。
空一面に大輪を咲かせるもの。
神話に出てくる神々を描いたもの。
そして、王国の国旗を描いたもの。
アクアリムスの魔法使い達が作った、最高品質の魔法による花火たち。
一晩の間に、数万という幻想的な花々がその一瞬の輝きと共に、光を散らしていく。
軍楽隊のリズムを伴奏に、町全体に色とりどりに輝く火の粉が降り注ぐ。
火の粉は街に住む平民、スラムの貧民、そして王城にいる王族にも平等に光を与えていた。
この『戦勝祭』に身分など関係はないのだから。
見上げた夜空に、またひとつ、巨大な花が咲いた。
ショウはとめていた足を動かし始める。
騎士達の国として、近隣はもとより海の向こうの世界にも名高い、ウェントス王国。その王都『フィーア』を、東西に分断している大通り『斜陽の大通り』を歩いているショウの足取りも、自然と軽いものになっていく。
いつもは人影もまばらであろう大通りも、今夜は未だ人で溢れ、熱気も冷める気配を見せていない。
周りは酒場の中といわず外といわず、到る所で酒盛りをしている連中で溢れかえっていた。
なにせ国境を接し、100年の永きに渡り同盟を結んでいる二国、魔法国家アクアリムスと、文化国家アースリンクからも、大勢の人が訪れていているのだ。
そういった異種族の多さも、この祭がいつもとは違った、特別なものであるということを実感させる。
だからこそ、ショウの銀髪で蒼色と翡翠色のオッドアイ、そして、金色の装飾がされた黒い魔法衣の姿でも全然不自然ではない。
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