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「で、誰に何の用事?」
中に入って靴を脱いでいると、後ろから声を掛けられた。
肩越しに見たその瞳は、私の真意を探ろうとしているかのようだった。
その言葉をいったん無視して靴を脱ぎ終えると、私は身体ごと男性の方に振り返り、目を見て答えた。
「〇〇不動産屋さんでこちらを紹介して頂きました、望月です。大家さんは、あなたですか?」
男性は黙ったまま私を見下ろし続け、そのままの状態で二分ほど経過した。
男性の背は高く、三十センチ程も低い私は首が痛くなってきた。
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