第一章 部屋探し

5/15
前へ
/110ページ
次へ
「で、誰に何の用事?」 中に入って靴を脱いでいると、後ろから声を掛けられた。 肩越しに見たその瞳は、私の真意を探ろうとしているかのようだった。 その言葉をいったん無視して靴を脱ぎ終えると、私は身体ごと男性の方に振り返り、目を見て答えた。 「〇〇不動産屋さんでこちらを紹介して頂きました、望月です。大家さんは、あなたですか?」 男性は黙ったまま私を見下ろし続け、そのままの状態で二分ほど経過した。 男性の背は高く、三十センチ程も低い私は首が痛くなってきた。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加