第一章 部屋探し

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「おーい、ヤス!腹減ったーって、そのコ誰?」 奥の方から出て来た女の人は笑いながら男性に話しかけ、そして私の顔を覗き込み、 「何、もしかしてヤスの彼女?」 と嬉しそうに言った。 「入居希望者、望月さん」 ヤスと呼ばれた男性は不機嫌そうな顔で答えたのに、女の人はそっかと言い、また笑った。 そして私の手を引いて奥へ連れて行きながら、階段の下で叫んだ。 「皆、聞いて~!新しい入居希望者が来たよー!」 その声がアパート中に響くと、ドンとかガシャンとかバタバタとか色々な音が聞こえてきて、居間と思われる場所に大勢が集まって来た。
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