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ヒカルとは帰る方向が一緒だからこんな風に後ろをついて歩いても誰にも怪しまれない。本当はもういい加減、堂々と一緒に帰りたいんだけど、ヒカルはまだそれを許してくれなかった。
ひとつ角を曲がってから、同じ高校のヤツが居ないか周りを確認して、少し早歩きでヒカルに追いつくと、ヒカルは頬をぷーっと膨らませて、あからさまに怒った表情をしていた。
「…先輩、今喋ってたヒト、元カノですよね??」
オレはそんなことを教えたことは一度もなかったのに、どこで調べてきたんだかヒカルは知っているようだった。
「そうだけど。それが何だよ?」
オレがあっさり認めたからか、ヒカルはシュンとしながら首にグルグル巻いてるマフラーを口元まで隠すように覆った。
「・・・キレイなヒトですね」
「そうか?別にオレはもう何とも思わないけど」
「先輩が振ったんですよね?」
・・・ヒカル。オマエ、誰からそんな情報仕入れてきたんだよ…。
そう突っ込もうと思ったけどやめた。ヒカルには正直に話そう。
「そうだよ」
オレは間髪入れずに答えた。
「何で……、あんなキレイなヒト振ったんですか?」
「何でって……。そうだな…性格が合わなかったのかな、多分。元々オレから告白して付き合ったわけじゃなかったし」
「・・・」
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