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「そうかもな。そんな暗い妄想してるヤツとは一緒に居られないかも」
そう言って繋いでいた手をパっと離すと、ヒカルはビクっとしながらオレの方に顔を向けた。
「オマエ、最近ちょっとおかしいぞ?オレと喧嘩したいの?」
ヒカルはプルプルと首を左右に振った。
「んじゃ、何?」
「・・・」
何も言えなくてジッと動かないヒカルを見て、オレはハァとため息を漏らした。
「だめだ。このまま話してるとホントに喧嘩になりそうだから、お互い頭冷やそう。今日はこのまま家まで送る」
そう言うと、ヒカルはぎゅっと唇を噛んでほんの少し考えてから右肩から少しずり落ちたカバンの持ち手を左手でしっかりと掛け直した。
「・・・いいです。今日はもう一人で帰ります」
ヒカルはペコリと小さくお辞儀をすると、小走りでオレの元から去って行った。
───軽い喧嘩…。
オレがいつもみたいに宥めれば済むことだったかもしれないのに、今日はなぜか宥められなかった。あんな風にヒカルに言われるなんて心外だったから。
何でこうなっちゃうんだよ……。
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