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花崎 欄、17歳。 高校2年生。 これはまだちっぽけな 人間だった、私の名と齢。 いくつ齢を重ねても、 幾度この地に足を運んでも 代わり映えのしないものはこの世に山ほどある。 歴史は変わらない。 歴史は繰り返す。 そして、―――――― 私が修学旅行で 訪れることになった地。 あの人がこれからこの地で過ごす 時間は一年も無いだろう。 だから私は、その傍らにいる。 鉛の弾の飛び交う戦場においても 平和な時間の流れる日々の中でも 彼に付き従うのだ。 主の命が堕ちる、そのときまで。 「...欄馬。 時間だ、もう行くぞ」 「はい。副長」 私は、いや俺はあのとき決めたのだから。 《もしあの世があるのなら、 俺の魂は地獄に、いや、 もっともっと深い、 奈落の底に堕ちるだろう...》 .
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