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「この五稜郭の中心に在るのは、 復元されたばかりの箱館奉行所でございます。 150年の時を経て、今年復元作業が完了しました。 えー、史実や古写真に基づいて、とても忠実に再現されていて、とくにここ、......」 高校の修学旅行。 それは、私たちの学校は北の大地 北海道『函館』だった。 やはり北の国だから寒いもので。 桜の花は5月の今、咲いている。 だが、もう中旬なので満開を過ぎ 葉桜になりかけ、風が吹くたびに 花弁のカーテンを作っていた。 散り行く桜を見て思う事は一つ。 なんてつまらない説明なんだ。 まず、何を言っているのか分からない。 そして、社会は好きではない。 そんな二大要素を抱えた私は、 ガイドさんの説明をただただ 聞き流すことにした。 そして―――、 「...では、説明も終わったこと なので自由時間にします。 五稜郭周辺で散策としますが、 時間には集合場所に集まっていてください」 すでにまわりのクラスメイトは、 みんなグループで行動を始めていた。 (まぁ、ひとりでもいっか...) 途中、何人かに誘われていたが、私は断ってしまっていた。 理由は、群れるのが嫌いだからではない。 では何故かと言うと、今は静かに この土地の空気というか、旅特有の感情に浸ってみたい、そう心に浮かんだからだった。 .
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