序章

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それから一年後 王子様にはある人と婚姻しなければなりませんでした 訳は城を築くためです それに、その二人は許嫁関係でもありました もちろん王子様はそのことを彼女に教えませんでした 彼女がそれを知るにはだいぶあとになりました 彼女が知ってすぐに王子様はその人の元へ船で行かなければなりませんでした 王子様は彼女に ついて来ては駄目だ と言われましたが彼女は こっそりと 船に 潜り込みました 幾日か船で過ごした時 悲劇は起きました 船が傾いたと思うと 突然船の底から大量の海水が入ってきました 誰もがパニックに陥り 自分自身のことでいっぱい いっぱい でした しかし彼女はそんなことを考えるより王子様のことばかり 考えていました いくら 王子様を 探しても 見つけることができませんでした 彼女が王子様を見つけた頃には 既に船は海の中でした 彼女が王子様を抱えて 空気がある場所へ 運んでいる途中 王子様は 息を引き取りました 彼女は 王子様を 助けることが出来なくて 初めて 誰かのために 涙を零しました 涙が 枯れるほど 泣きました その時 彼女に 変化がありました 彼女の立派な桃色の 鱗が 髪が 漆黒に染まりました それからと言うもの 彼女は 陸の上の人間や 海に住んでいる生き物達に 酷いことをしました もちろん 皆に 怖がられ 「夜姫」 と 呼ばれるようになりました
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