キスと刀と茉莉華と俺

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「んなこと言われても俺は知らねぇ!」   「決まりなんだから仕方ないじゃなーい」    ワンワン泣きながら刀振り下ろす奴に殺されて死ぬなんてシャレにもならねーぞ。   「迷惑してんのはこっちだ! 朝からいきなりこんな状況でオマケに学校に遅刻……」   「えっ? なに、ちこ……く?」    俺達は同時に力を抜いていて、互いに顎に手をあて考えた。  そしてほぼ同時に掌をポンと叩き、『あぁ遅刻ね』と言い和やかに笑いあった。   「遅刻かぁ、俺意外と初めてかもなぁアハハハ」   「そうなの? 私もそういうのは守る主義だから初めてかもー」    俺達は同時に駆け出した。   「どうしてくれるんだよ。俺のモットーである平安・平和・平穏が崩れたじゃないか」   「っな! そんな事言っても、わ、私のくく、口……を奪ったあんたが悪いんじゃない!」    この口喧嘩は、校門前に仁王立ちする教諭主任の姿を目にするまで続いた。    これが俺の茉莉華のとんでもない出会いだった。    わたくし日下慎一郎・十六歳初の職員室でのお叱りが待っています。
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