キスと刀と茉莉華と俺

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 その余韻に浸る時間も無く、だんだんと息苦しくなってきた。   「ん……ん! んん!」    そしたらこの女、頭をぶつけないように助けてあげた恩も忘れて暴れ始めましたのよ。顔面に二発クリーンヒッツ、あぁぁっと慎一郎選手ダウンっ!   「ちょ、あ、あんた何すんのよ!」   「何って、ぶつかったのはお互い様として頭をぶつけないよっ……うに」    父さん母さん信じられますか? 俺は初めて見ました。人間があんなにどす黒いオーラを纏う姿。ディス・イズ・ノンフィクションです。   「やす?」   「へい、お嬢これで」    おやおやおやー?  あれは見間違いじゃなければ黒服にサングラスという、十中八九あっち系のお人じゃありませんか? それにいま確実にお嬢という単語が。   「うん、今日もお天道様は輝いてる。やるには絶好の日和」    やすさんは『おっしゃるとおりで』とか言いながら鞘を拾わない!   「おい、ちょっと待て、話しを聞け、こ」   「よくも私の女としての一生をぉ!」    ひぃぃぃぃぃぃ!  とまぁこれが遺言です。父さん、母さん、今まで十六年間ありがとうごさいました。  俺思うんです。刀持ってる変な女だけど、結構顔は可愛いから悔いは無いよ。逝ってきます。    そして時は動き出す。
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