キスと刀と茉莉華と俺

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「さっきもヤスが言ったけど、うちには家訓があって」   「それは、さっき聞いたぁぁ」   「杯家の跡取りが女しかいない場合は、別のがあるのよ」   「へ、へぇ」    げ、限界に近いです。両腕の筋肉がヘールプ、ヘルプミーって叫んでるのが確かに聞こえるよ。   「そ、それはね」   「それは?」   「その、えと、あぅ」    チャンスです隊長! 茉莉華の力が段々弱まって来ました。ここは下手に刺激を与えず、自滅するのを待ちましょう。  了解した。数々の修羅場をモットーのためにくぐり抜けてきたこの私なら出来る。この私ならなぁ!   「そ、その。だから、最初にぃ……」   「最初に?」   「く、くく、くちゅ」    危ねぇ!……隠語? って危なく口走るとこだった。   「く?」    その時、人間の顔って本当に蒸気上げて真っ赤になるんだね。って事を今夜両親に報告しようと俺は思った。   「最初に唇を許した者を夫にするっていう決まりがあってそれがなんで今でよりによってあんたみたいに中途半端に格好いいやつが相手で偶然の事とはいえ心のどこかで一瞬だけでもアリかなとか考えた自分が許せなくてだからやっぱりあんたをここで殺すのー」    息継ぎなし!?  しかもこいつ天然か!? 普通は隠すような本音まで、って泣きながらパワーアップしやがったぁぁぁ。
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