/2363ページ
教室二つ分は入る四方形の部屋。白いベッドが何個か並べられ、棚には医療薬品や魔法薬が納められている。ここは聖ジョナント学園・医務室。
「はぁ……今日は疲れるわい」
白髪の髪をいじりながら、医務室の先生は机の書類を見ながら溜め息。
近々、学園で健康診断があるのだ。意外に面倒な仕事である。書類に目をやりながら机にあるティーカップを持ちあげた。
――ここで気付く。
医務室の先生の耳に魔法陣音が聞こえ、ハッとして後ろを慌てて振り向く。
「――こ、これは……転移魔法陣じゃと?!」
医務室の床には、白く輝きを放つ魔法陣が展開されていた。
魔法陣から白い光が天井を貫く勢いで一気に噴き上げる。
「……くっ」
先生は目映い光に対して両手で目を覆い隠す。この光を直視したら失明の危険性を感じたのだ。
魔法陣の光が落ち着き始めるに合わせ、先生は両手を下ろすと……
そこには見たことがある人影がいたので思わず名を叫ぶ。
「――真奈道桜花君じゃと?!」
桜花は杖を前方に構えていたが、すぐに解くと周りを確認するようにキョロキョロと見渡す。それに合わせて淡いピンクの髪も揺れ動いていた。
「……転移成功したみたいだね」
「さすが桜花だよ。それより先生いるわよ!」
転移魔法成功に胸を撫で下ろすが、ホワに言われて、目の前にいる医務の先生に慌て叫ぶ。
「先生ー!! ロカ君、ロカ君を見て下さい!!」
「……ロカ君じゃと……? ――?!」
先生の瞳に映るのは床に倒れている少年。
「こやつは少し前に騒がせた、ルーンの腕輪の保持者じゃな……」
白いワイシャツが裂け真っ赤に染まり、意識無ければ顔色も青白。
……ひょっとして、死んで……いかん、いかん!! と、そんなことを考えて。
「何があったのじゃ?」
先生は桜花に話をしながらロカの元に駆け寄り、脈拍をとる。
「それが……」
桜花は自分がみた事を簡単に説明を始めた。
最初のコメントを投稿しよう!