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「勇者に選ばれた。」
たった一言で両親への報告は済んだ。なかなか大変なことだろうが起こっているのだろうが、なんせ特に他に何もなかったんだ。一言で済んで仕方ない。
母の反応は大きくなく
「で、どうしたの?」
「え、いや、もしかして信じてない?」
母は頷いた。
確かに、俺が選ばれたのは俺自身でも信じがたい。母が疑うのは当然だ。
「いや、本当なんだ。俺は旅に出る。」
言ってて恥かしくなってきた。恐らく俺の頬は赤く染まっているだろう。
大量の金貨の入った袋をドスンと机の上に置く。
「ほら、これが支度金。」
中を見た母は黒い長髪を靡かせて、卒倒した。
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