22人が本棚に入れています
本棚に追加
今日も街へと繰り出し、今日の男にめぼしをつけていた。
少し痩せた、中年のおじさんが私の横を通った。
靴もきれいだ。
よーし。
あれに決めた。
あれならすぐに果ててしまいそう。
「おじさぁん。今、時間ありますかぁ??ユカぁ、電車に乗るお金がなくなっちゃってぇ~、貸してもらえないですかぁ??」
私の笑顔、しゃべり方。そして自分を名前で呼ぶ。偽名だけど。
極めつけはこのセーラー服。
今までに乗ってこなかった男はいない。
ホテルのベッドに顔をうずめて、早く終わらないかと必死に祈る………………。
「これで足りる?」
ベッドの上に、万札5枚。
まずまず…。
「ありがとう。」
「いつもこんなことしてるの?」
男が不意に、そんな質問をしてきた。
「ううん。」
首を横にふりながら、それだけ答え、私はすぐに寝転がってタバコに火を点けた。
中2のときに覚えた味。
イライラを抑えるにはちょうどいい薬。
「じゃあ、僕は先に。」
「うん。」
身体が重い。私は長い髪をかきあげ、ベッドヘッドに映るデジタル時計を見た。
最初のコメントを投稿しよう!