1.“援交”

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バタン。 誰かが戸を閉める音はすごく嫌い。 私は今つけたばかりのタバコを灰皿に押し付けて、毛布をかぶって眠りについた。 次の日、お昼頃にチェックアウトをし、また街をさ迷い歩いた。 今日は金曜日。 街の人々は忙しなく動いている。 「おい」 後ろから肩をたたかれて、振り向くと、そこには私の元カレが立っていた。 田熊庄治。私と同じ学年の元カレ。ちょっと不良で、でもキレイで、女の子に受けそうな顔立ち。 今は、もっとも見たくない顔だ。 「何か用?」 ぶすっとした顔で、庄治を睨んだ。 「おいおい、怖いな…時間ある?」 「ない。」 私は庄治の横をすり抜けて、スタスタと、歩き始めた。 「お…おい、待てよ。」 庄治との出会いは、高校1年の夏、付き合っていた最初のころから、ずっと二股をかけられていた。 ……、私の親友と。 それがおおやけになってから、親友ともうまくいかなくなって、学校にも行かず…私はこの有様だ。 「梓。やり直そう。梓がいないと俺……」 私のうしろを歩きながら、庄治はまたいつもの調子で甘い言葉をささやく。 そんなのもう聞き飽きたよ。 「梓!」 庄治は私の腕をおもいっきり引っ張って、振り向かせた。 けれど私は、手を払いのけて庄治を睨み付けた。 と同時に、庄治の平手が顔面へ飛んでくるのが目に入った。 叩かれる………!!!
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