22人が本棚に入れています
本棚に追加
バタン。
誰かが戸を閉める音はすごく嫌い。
私は今つけたばかりのタバコを灰皿に押し付けて、毛布をかぶって眠りについた。
次の日、お昼頃にチェックアウトをし、また街をさ迷い歩いた。
今日は金曜日。
街の人々は忙しなく動いている。
「おい」
後ろから肩をたたかれて、振り向くと、そこには私の元カレが立っていた。
田熊庄治。私と同じ学年の元カレ。ちょっと不良で、でもキレイで、女の子に受けそうな顔立ち。
今は、もっとも見たくない顔だ。
「何か用?」
ぶすっとした顔で、庄治を睨んだ。
「おいおい、怖いな…時間ある?」
「ない。」
私は庄治の横をすり抜けて、スタスタと、歩き始めた。
「お…おい、待てよ。」
庄治との出会いは、高校1年の夏、付き合っていた最初のころから、ずっと二股をかけられていた。
……、私の親友と。
それがおおやけになってから、親友ともうまくいかなくなって、学校にも行かず…私はこの有様だ。
「梓。やり直そう。梓がいないと俺……」
私のうしろを歩きながら、庄治はまたいつもの調子で甘い言葉をささやく。
そんなのもう聞き飽きたよ。
「梓!」
庄治は私の腕をおもいっきり引っ張って、振り向かせた。
けれど私は、手を払いのけて庄治を睨み付けた。
と同時に、庄治の平手が顔面へ飛んでくるのが目に入った。
叩かれる………!!!
最初のコメントを投稿しよう!