無理だけは…

2/3
前へ
/388ページ
次へ
ふと目を覚ますと黒田がソファーに座ってすすり泣いてる。 そして俺は冷えピタを貼られ布団の中にいる。 イマイチ状況がつかめ無いながら思い出してると練習中に倒れたんやって事に気がついた。 って事は黒田は俺の事で泣いてんの?ウソやろ?色んな思いがあるなか俺は黒田に声をかけた。 「黒田?」 それしか言えんかった。 黒田は顔を上げて俺に 「起きたか?気分どないや?熱測ってみ?」 と体温計を渡してくれた。 俺はそれを受け取り熱を測り始めると 「食欲無いかも知れんけど、なんか食べな元気でんやろ?お粥さん作ってったろ。…。遠慮は禁物。」 と言いながら頭をぽんぽんとしながら部屋を出て行ってしもた。 その瞬間涙が出てしもた。 しぱらく泣いとってピピッていう音で我に返り体温計を見るとまだ38度やった。 そのまま机に体温計を置いて布団にもぐった。 涙が止まらんくて。 きっと黒田は俺が黒田を頼らんかったことに怒ってるやろな。 やのにあんな優しく接してくれるなんて。 俺は何してんねんやろ。 なんか情けないし、悔しいな。 そう思いながら泣いとったら黒田が戻ってきた。 机の上の体温計を見て 「まだ高いな。明日も下がらんかったら医者いこな?…。小渕?どないしたん?」 と黒田が言う。 でも俺は返事できんかった。 すると黒田は、ベッドの脇に座って俺に 「出てき。大丈夫やから。俺怒ってないよ。やから座って。」 その言葉で涙を拭きながらベッドに座った。 そしたら黒田は俺の肩を抱き寄せて頭をぽんぽんしながら 「こんなんなるまで俺のこと思いながら曲書いてくれてありがとう。俺のことこうやって思ってくれるのはきっと小渕だけやと思う。ほんまにありがとう。」 そう言うてくれた。 俺は 「こんなに自分勝手なことしたのに怒ってないん?」 と聞くと 「当たり前や。初めはキレてたけど小渕が黒田の事歌にしたって聞いた瞬間から怒ってないよ。それより早よ食べ。冷めるで。」
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加